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「すざく」衛星による地球外圏からの電荷交換X線放射の系統探査 Systematic Search for Solar Wind Charge Exchange X-Ray Emission from the Earth's Exosphere with Suzaku
Wednesday 19 Jun 2013, 13:00
→
14:30
Asia/Tokyo
RIBF Bldg. 2F Room 203 (RIKEN Wako)
RIBF Bldg. 2F Room 203
RIKEN Wako
Description
日時 : 2013年6月19日 (水曜日) 13:00 から 会場:RIBF 棟会議室 203 号室 講師 : 石川 久美 (玉川高エネルギー宇宙物理研究室) Kumi Ishikawa (High Energy Astrophysics Lab.) 題目 : 「すざく」衛星による地球外圏からの電荷交換X線放射の系統探査 Systematic Search for Solar Wind Charge Exchange X-Ray Emission from the Earth's Exosphere with Suzaku 概要 : 近年、彗星のような冷たいガスからもX線が放射されることが明らかとなった。これは、太陽風イオンと 希薄なガス中の原子との電荷交換反応 (Solar Wind Charge eXchage : SWCX) によるものである。 地球の最外層大気である外圏からのSWCX放射は、ROSAT衛星による全天サーベイ観測により短時間の 時間変動 (~日) する軟X線バックグランドとして発見された (Snowden et al.1994)。これは地球周回衛星 による全てのX線観測の前景放射となる。SWCX放射は太陽活動に依存するため、太陽観測衛星による 太陽風情報を併用することで、外圏大気や磁気圏の状態、太陽風イオンの輸送などについての情報を 得ることができる。しかし、これまで磁気圏のカスプ方向を見ることができる近地球軌道の衛星による、 系統的な分光・時間変動研究は行われてこなかった。 そこで本研究では、SWCX放射から地球の周辺環境を探るべく、2005年8月から2011年9月までの「すざく」 の全公開データ、2031個を解析した。大気のように広がった領域からの放射は、低バックグランドかつ 1 keV以下で高いエネルギー分解能を持つ「すざく」搭載のX線CCD(XIS)による観測が適しており、 これまでにカスプやシース方向でSWCX放射が4例報告されている (Fujimoto et al.2007, Ezoe et al.2010, 2011, Ishikawa et al.2013)。 酸素バンド (0.5-0.7 keV) のX線ライトカーブと太陽風プロトンフラックスの変動を利用し、38のデータから SWCX放射を検出した。ほとんどが新しく発見したものである。年ごとの検出数は太陽活動との相関が見られ、 さらに視線方向ごとに太陽風陽子フラックスで規格化したSWCX放射効率をまとめたところ、従来の地球外圏 SWCXモデルで予測されていたような太陽側のシースやカスプ領域で非常に明るい、といった傾向は見られなかった。 さらに太陽風イオンフラックスを用いた視線方向の外圏柱密度を求めて、既存の外圏密度モデルと比べたところ、 X線から見積もられた柱密度の方が5~10倍高くなり、既存の外圏モデルではSWCX放射強度を説明できないことが分かった。 本セミナーでは、これらの結果や太陽活動とSWCX放射の関係について議論する。
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