Monthly Colloquium

高強度場の物理とそのハドロン物理への 応用 (Monthly Colloquim)

by Dr Kazunori Itakura (KEK)

Asia/Tokyo
RIBF Bldg. 201 Conference Room (RIKEN Wako)

RIBF Bldg. 201 Conference Room

RIKEN Wako

Description
This seminar will be given in Japanese. ある物理系に対し外場を作用させると、一般にその系は励起される。外場のエネルギーが系の自然に持つ励起状態 のエネルギーよりも大きくなると、系の外場に対する応答は劇的に変化する。「強い場の物理」とはそのような状況でのみ起こり得る新しい現 象を扱うものである。例えば、真空に強電場をかけて起こる「電子・陽電子対生成」(Schwinger機構)、 半導体・絶縁体に高強度レーザーを照射して起こる「電子・空孔対生成」(および絶縁破壊)、原子に高強度レーザーを照射して起こる「トン ネルイオン化」などはみな強い場の物理だが、本質的に同じ現象である。本講演では、そのような強い場の物理の特徴や記述方法を簡単に紹介した後、光子が強磁場中でみせる性質変化 (複屈折、電子・陽電子対への崩壊、2光子への分裂)を議論する。さらに、ハドロン・量子色力学の世界における強い場の物理を議論する。 具体的には、非常に強い磁場を持つコンパクト天体である中性子星・マグネターの内外での物理、高エネルギー重イオン衝突における強電磁場 の効果、および強いカラー電磁場の効果を議論する。後者については、強い場の物理がクォーク・グルーオンプラズマの生成過程に対する重要 なヒントを与えるということを指摘する。
Poster