RIBF Nuclear Physics Seminar

ミュオン触媒核融合の最近の進展と理論的予言 Recent developments of muon-catalyzed-fuison study and some theoretical predictions

by Prof. Masayasu Kamimura

Asia/Tokyo
Description

=Date and Place=

Feb. 28th (Tue) 2023  , 13:30~ via Hybrid  (Zoom + RIBF hall)

=Lecturer=

Prof. Masayasu Kamimura

(Research Consultant, Meson Science Laboratory, RNC, RIKEN)

=Title=

ミュオン触媒核融合の最近の進展と理論的予言

Recent developments of muon-catalyzed-fuison study and some theoretical predictions

=Abstract=

ミュオン触媒核融合(Muon Catalyzed Fusion,μCFと略す)とは、d+t-->α+n+17.6MeVなどの核融合反応を、負ミュオンを触媒として、d+t+μ-->dtμ)分子 -->α+n+μ+17.6MeVμは元に戻って触媒となる)のようなサイクル過程に変え、低温度(1000度程度以下)で核融合を促進し、エネルギー生産や各種応用を目指す研究である。μCF研究は1947年にスタートし、1975〜2000年頃が最盛期であり、実験効率は科学的break-even50%に達した。その後(2005〜2015年頃)停滞気味であったが、数年前に復活し、各種のμCF反応機構の高度化(高圧ガス中での、ミュオン分子励起共鳴状態を含む新しいμCFサイクルや ミュオン原子の飛行中核融合など)や新しい応用が提案され、新段階に入っている。通常の核融合のcommunityμCFを取り入れようとする動きも日・米で始まっている。科研費新学術領域研究「量子ビーム」において2件のμCF関連の計画研究が行われている。一方、μCFは少数粒子系(原子核・原子・分子)理論の課題の宝庫である。上記のμCFの新発展に対応するために、原子核理論側として講演者は、上記2件の計画研究の基盤となる「μCFにおける諸核反応過程の包括的な理論研究」を、従来のμCF文献では採用できなかった高度の少数粒子系計算法により行っている。一つの重要な新結果は「μCFでの放出ミュオンのエネルギー分布予言」であり、J-PARCでのμCF関連実験(MS01)の装置設計に利用されている。また、アメリカで新たにμCF実験を行っているグループから 我々の諸計算結果をどのようにimplementするか検討しているとの連絡を受けている。セミナーでは、この理論研究に加え、上記の2件の計画研究の紹介も含めて報告する。