Monthly Colloquium

Monthly Colloquium

by Prof. K. Asahi (Titech)

Asia/Tokyo
Nishina Hall, RIKEN

Nishina Hall, RIKEN

Description
講演タイトル: 原子にEDM を探す アブストラクト:   永久電気双極子モーメント(EDM)は、量子系の粒子に自発的に生じている電気分極のことである。EDMはスピンに付随した向きをもつ量なのに、時間反転(と空間反転)変換に対してスピンとは異なる変換性をもっており、EDMがゼロでないならば、その粒子を成り立たせているラグランジアンに時間反転不変性(従ってまたCP不変性)を破る成分が含まれていることになる。   CPの破れが見える物理過程はK0やB0 メソンの崩壊など他にもあるが、特にEDMに最近スポットライトが当たるのは、EDMが、素粒子の標準理論(SM)に含まれるCPに対してはきわめて鈍感な一方、SMを超える理論のCP破れには敏感な結果、それを選択的に浮かび上がらせる観測量であるからである。つまり、もし有限のEDMが見つかったなら、標準理論を超える物理の動かぬ証拠となるということである。   東工大では最近、外部フィードバック型核スピンメーザー法を使って、希ガス原子129Xeに現れる原子EDMをそのスピンの歳差運動を精密に制御・計測することにより検出することを目指している。本講演ではEDM探索の意義と世界の探索実験の状況、東工大の研究の現状についてお話しする。