原子核におけるクラスター現象を理解するには、基底状態での"クラスター形成"と、クラスターの相対運動励起による"クラスター励起"の両方の解明が不可欠である。弱束縛系である不安定核は、核内クラスター相関を検証するのに適した系と期待される。また、クラスター励起に関して、安定核と不安定核のクラスター励起状態を系統的に調べることで、その普遍性を発見し池田図を凌ぐ新しいクラスター則を構築できる可能性があり、核物理の進展に繋がりうる課題である。実験と理論の連携研究によりクラスター形成とクラスター励起の解明を目指す。 具体的には、RCNP/CYRIC では、4N原子核近傍の安定核での崩壊α粒子測定によって励起エネルギー方向へ、RIBFではSAMURAI/CRIBの実験によって中性子数方向へそれぞれ拡張を目指している。特にCRIBからは最近 7Li+α、7Be+αの実験が誌上報告され完結した。これを踏まえ、今後CRIB におけるαクラスター研究の対象となりうる具体的な核種(15O+αなど)を検討し、研究の方向性を定めたい。SAMURAI では非弾性散乱を用いて 16C 、Ne 同位体の実験が計画されている。全体としてこの機会を使ってトピックを整理し今後の戦略をはかる。
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Asia/Tokyo
RIKEN Nishina Center
Nishina Hall