RIBF理論若手放談会:エキゾチック核物理の広がり

Asia/Tokyo
8階講堂 (理研神戸・融合連携イノベーション推進棟)

8階講堂

理研神戸・融合連携イノベーション推進棟

Kenichi Yoshida (Kyoto University), Wataru Horiuchi (Hokkaido University)
Description
新奇な多体相関・集団運動の発現可能性の研究は,原子核物理の醍醐味の一つである多様性の探究と,それを生み出すメカニズムの普遍性の追究に直結するものであり,階層性を越えた広く多体系の物理の中心的課題でもあります。 現在 RIBF は,天然には安定に存在しない不安定核(中性子過剰核,陽子過剰核,超重核)を主な対象として,多体系の物理を推進しています。10−20年後には,現在では想像もできないユニークでエキゾチックなハドロン多体系を対象とした物理の展開が可能になるかもしれません。新しい自由度の存在や極限的な状況の下で,ハドロン多体系としての原子核にはどのような多体相関や集団運動が現れ,それがどのようにダイナミクスに反映するのかについて,ざっくばらんに語り合う機会を設けました。現在行われておられる研究に軸足を置きつつ,将来を展望していだだけましたら幸いです。 それぞれの招待講演には,長めの議論の時間を設けます。参加者の皆様で,活発なご議論をお願いしたいと思います。また,最終日には総括の議論の時間を設けます。学生の方々,実験の方々の参加・講演も大いに歓迎いたします。
Participants
  • Atsuko Odahara
  • daisuke Suzuki
  • Fang Ni
  • Hajime Togashi
  • Hiroki Nishibata
  • Kazuki Yoshida
  • Kazuyuki Ogata
  • Kenichi Yoshida
  • Koichi Sato
  • Kouhei Washiyama
  • Kouichi Hagino
  • Masaaki Kimura
  • Masahiro Isaka
  • Masaki Sasano
  • Megumi NIIKURA
  • Naofumi Tsunoda
  • Nobaki Imai
  • Nobuo Hinohara
  • Nobuya Nishimura
  • Shigehiro Yasui
  • Shin WATANABE
  • Shuichiro Ebata
  • Sota Yoshida
  • Tadaaki Isobe
  • Tadahiro Suhara
  • Takashi Abe
  • Takayasu Sekihara
  • Takayuki Miyagi
  • Takenori Furumoto
  • Takuma Matsumoto
  • Tetsuo Hatsuda
  • Tomoyuki Baba
  • Wataru Horiuchi
  • Yoshihiro Aritomo
  • Yoshiki Chazono
  • Yoshitaka Fujita
  • Yoshiteru Satou
  • Yuma Kikuchi
  • Yusuke Tanimura
  • Yusuke Tsunoda
    • 09:30 09:40
      Introduction
      Convener: Dr Kenichi Yoshida (Kyoto University)
    • 09:40 11:00
      Resonance and decay
      Convener: Dr Kenichi Yoshida (Kyoto University)
      • 09:40
        中性子過剰核における励起共鳴状態および励起モードの研究に向けて 40m
        中性子過剰領域の原子核では、中性子分布が薄く広がったハロー構造などの安定核では見られなかった特異な構造が見られる。これまでの中性子過剰核における研究は主にその基底状態の半径や大きさなどに注目されていたが、今後はさらにその励起状態の構造研究が進展していくと期待される。特に2中性子ハロー核と呼ばれるドリップライン上では、励起状態が粒子崩壊閾値より上に共鳴状態として観測されることから、安定核では見られなかった特異の構造が発達すると期待される。本講演では、中性子過剰核の共鳴状態が、分解反応の励起エネルギー分布にどう現れるかを微視的反応解析により議論する。
        Speaker: Dr Takuma Matsumoto (Kyushu University)
      • 10:20
        崩壊粒子の運動量分布から見る中性子過剰核の構造 40m
        中性子過剰核では基底状態を除くほとんどの状態が励起共鳴状態として存在しており、共鳴状態の構造が観測量とどのように対応しているかを調べることは重要である。励起共鳴状態は断面積の分解閾値以上の励起エネルギーにおいてピークとして観測されるが、ピーク位置とともに、崩壊粒子の運動量分布から部分系の相関をを調べることで励起状態の詳細な構造を理解することができる。本講演では6Heの励起共鳴状態の崩壊モードの分析から部分系の情報が中性子過剰核の構造を調べる上で有用なことを紹介する。また、6Heを例にとり、中性子過剰核の構造を調べる上で注意すべき点を議論するとともに、今後の研究の方向性について議論したい。
        Speaker: Dr Yuma Kikuchi (Osaka City University)
    • 11:20 12:00
      Halo
      Convener: Dr Kenichi Yoshida (Kyoto University)
      • 11:20
        構造・反応の両面から探る変形ハローとその展望 40m
        1985年に11Liのハロー構造が発見されて以来、現在では、31Ne (30Ne + n) や37Mg (36Mg + n) といった重い原子核までハロー核として確認されている。このように新たに発見されたハロー核は、いわゆる「変形ハロー」と呼ばれ、そのコア核 (30Neや36Mg) が大きく変形していることが予想されている。変形ハロー核は、核内でコア核が変形に伴う回転励起(コア励起)を起こしており、様々なコア状態の重ね合わせによって基底状態と励起状態(連続状態)が形成される。これはコア励起がハロー核の構造にもたらす静的効果といえる。一方で核反応を考えた場合、コア核は散乱過程で励起・脱励起を繰り返すことになる。これは、コア励起が核反応に与える動的効果といえ、その結果として観測量である断面積が得られる。本講演ではコア励起をテーマに研究の展望を述べる。
        Speaker: Dr Shin Watanabe (National Institute of Technology, Gifu College)
    • 12:00 13:00
      Deformation
      Convener: Dr Takashi Abe (Department of Physics, The University of Tokyo)
      • 12:00
        モンテカルロ殻模型による原子核形状の研究 40m
        原子核の変形は核子多体系としての原子核の性質を示しており、 原子核形状は原子核物理における重要なテーマの一つである。 エキゾチック原子核を含む核図表の広い範囲の核種を研究することで、 陽子数と中性子数の2つの自由度から原子核の性質を調べることができる。 モンテカルロ殻模型では、殻模型の枠組みで多くの一粒子軌道を含めた広い模型空間を取り扱うことができ、 Slater行列式の基底の重ね合わせとして波動関数を表すことにより、原子核の形状など集団的な性質を記述することができる。 そのため、殻構造の観点から変形を考えることができ、その一例として第二種殻進化による変形共存現象の説明がある。 本講演ではNi領域、Zr領域、Sm領域などにおける研究について主に原子核形状に関する性質を議論し、その内容をもとに将来を展望する。
        Speaker: Dr Yusuke Tsunoda (Center for Nuclear Study, the University of Tokyo)
      • 12:40
        量子多体相関を示唆する四重極変形と八重極変形 20m
        Spontaneously symmetry breaking is the one of most important keywords to describe modern physics. In nuclear physics, the rotational symmetry of nucleus is spontaneously breaking induced by the coupling among individual particle motions and the corrective motion, which was pioneered by Bohr and Mottelson. We investigate systematically the ground states of nuclei for whole nuclear mass region, with using the three-dimensional Skyrme Hartree-Fock+BCS model. Furthermore the octupole correlations for rare earth and actinoid nuclei are studied with the constraint mean-field method. We will report the aspects of octupole deformed nuclei, through the distribution in the nuclear chart and potential energy surfaces with respect to multi- octupole deformation parameters.
        Speaker: Dr Shuichiro Ebata (Faculty of Science, Hokkaido University)
    • 14:30 15:50
      Deformation and pairing (I)
      Convener: Dr Takuma Matsumoto (Kyushu University)
      • 14:30
        多体相関と外場で誘起される集団運動 40m
        対相関や変形相関など多様な多体相関の存在によって原子核には多彩な真空(相構造)が現れ,その過程や真空の構造が,集団運動の性質に大きな影響を与える。幾つかの具体例などを通して,重い不安定核での新奇な集団運動の発現可能性を議論する。
        Speaker: Dr Kenichi Yoshida (Kyoto University)
      • 15:10
        原子核の形の揺らぎと大振幅集団運動 20m
        原子核の励起モードの解析に大規模数値計算となるQRPA法の効率的解法である有限振幅法が近年急速に発展している。有限振幅法は通常のQRPA法での行列の対角化と残留相互作用の計算を露に行なわずに、原子核の線形応答モードを記述する。我々は3次元の有限振幅法QRPAの数値計算コードの開発を行なった。本講演では、アイソスカラー四重極応答における先行研究との比較、非軸対称原子核の励起モードの結果について紹介する。また、応用として5次元ハミルトニアンの集団質量の記述に向けた計算について報告し、将来の不安定核研究への展望を議論する。
        Speaker: Dr Kouhei Washiyama (Center for Computational Sciences, University of Tsukuba)
      • 15:30
        対相関による大振幅集団運動への理論的アプローチ 20m
        対相関は原子核構造の中で最も重要な性質の一つである。原子核の基底状態における対相関はよく知られており、BCSやHFB理論で記述される。また、対相関を取り入れた準粒子乱雑位相近似(QRPA)によって、原子核の巨大共鳴も理解することができる。しかしながら、原子核の低励起状態の運動モードが非常に複雑であり、現在の理論で説明できない現象が多々存在する。我々は対相関を取り入れた大振幅集団運動を解明することが、原子核の低励起状態を理解する鍵になると考えている。対相関を取り入れた大振幅集団運動理論は発展途上であり、理論の枠組みを完成させることが最優先である。 我々は自己無撞着な集団座標[1]と経路積分の準古典近似の方法[2]を取り入れ、まず単純な対相関模型を用いて検証する。対相関模型は厳密解が得られることから、理論の検証に最適である。本講演では、対相関模型におけるダイナミクスの性質に触れてから、自己無撞着な集団座標と経路積分の準古典近似の方法を述べる。また、波動関数や2核子移行遷移強度の結果を例にあげ、厳密解との再現性を議論するつもりである。 [1]T. Nakatsukasa, Prog. Theor. Exp. Phys., 01A207 (2012) [2]T. Suzuki and Y. Mizobuchi, Prog. Theor. Phys., 79, 480 (1988)
        Speaker: Mr Fang Ni (Univ. of Tsukuba)
    • 16:10 17:30
      Deformation and pairing (II)
      Convener: Dr Takashi Abe (Department of Physics, The University of Tokyo)
      • 16:10
        不安定核での変形、対相関による大振幅集団運動 40m
        原子核の多体相関で最も重要なものは変形をもたらす多重極相関と、超伝導をもたらす対相関である。有限量子多体系である原子核ではこれらの大振幅な相関が本質的となる現象が現れ、変形共存、核分裂などはその一例である。平均場描像を出発点として大振幅集団運動の理論を構築し、これらの構造を議論する。
        Speaker: Dr Nobuo HINOHARA (Center for Computational Sciences, University of Tsukuba)
      • 16:50
        集団自由度の揺らぎを取り入れた微視的反応理論とその応用 40m
        We have developed a new microscopic approach to the nuclear fission based on the stochastic mean field theory, which simulates the evolution of a quantum wavepacket in the collective phase space with an ensemble of time-dependent Hartree-Fock trajectories. We show that the important fission observables, such as the total kinetic energy of fragments and the fragment mass distribution are reasonably in good agreement with experimental data for the spontaneous fission of $^{258}$Fm.
        Speaker: Dr Yusuke Tanimura (Tohoku University)
    • 09:30 10:50
      Nuclear force and nuclear structure
      Convener: Dr Wataru Horiuchi (Hokkaido University)
      • 09:30
        核力と中性子過剰核の構造 40m
        核力と中性子過剰核の構造について議論する
        Speaker: Dr Naofumi Tsunoda (CNS, the University of Tokyo)
      • 10:10
        中重核における3体力の効果 20m
        原子核物理における基本的な課題の一つは、核子間に働く核力に基づいて原子核構造を理解することである。この問題の解決に向けて、核力自身と多体問題の解法の両方が重要である。核力に関して、近年精力的に研究がなされており、特にカイラル有効場理論による核力は摂動の高次項を取り込むことで多体力や精度について系統的な改善が期待できることから当該分野で標準的に用いられるものになりつつある。最近の研究から、2体力だけでなく3体力の効果を取り込んで多体計算を行うことの重要性が注目されている。多体問題の解法に関しては、登壇者がこれまでの研究に用いてきた第一原理的な計算手法であるユニタリ模型演算子法(UMOA)を用いることができる。本講演では、カイラル有効場理論による2+3体力から出発したUMOA計算の結果、特に閉殻原子核の基底状態エネルギーについて報告する予定である。
        Speaker: Dr Takayuki Miyagi (Center for Nuclear Study, the University of Tokyo)
      • 10:30
        モンテカルロ殻模型による第一原理計算の現状と今後の展望 20m
        モンテカルロ殻模型による第一原理計算の現状と今後の展望について報告する。
        Speaker: Dr Takashi Abe (Department of Physics, The University of Tokyo)
    • 11:10 12:10
      Nuclear force, structure, and matter
      Convener: Dr Wataru Horiuchi (Hokkaido University)
      • 11:10
        中性子過剰核におけるベータ崩壊と陽子-中性子相関 20m
        講演では中性子過剰核(質量数40領域)におけるベータ崩壊に関する殻模型計算の結果を紹介する。 (より重い領域で)r-processの理解において重要となるベータ崩壊半減期や遅発中性子放出確率の実験値を広い領域で系統的に再現していることに加え、第一禁止遷移の効果や、低励起エネルギーに見られる特徴的なガモフテラー遷移やその起源などを示す。
        Speaker: Mr Sota Yoshida (The university of Tokyo)
      • 11:30
        現実的核力に基づく核物質状態方程式の研究と今後の課題 40m
        中性子星や超新星爆発(SN)などの高密度天体の研究において、核物質の状態方程式(EOS)は重要な役割を果たす。特に重力崩壊型SNでは、鉄コアの重力崩壊後、外向きの衝撃波発生のきっかけは星の中心部に形成された一様核物質の硬さであり、この一様核物質の硬さは有限温度核物質のEOSによって決まる。ところが、SNシミュレーションでは広範囲の密度、温度、陽子混在度に対する核物質の熱力学量が必要となるため、その作成は困難であり、シミュレーションに適用可能なEOS(SN-EOS)の数は限られている。さらに、これまでに提案されてきたSN-EOSは、すべて一様核物質相が現象論的な模型に基づいて作成されており、現実的な核力に基づいた核物質EOSがSNシミュレーションに適用された例はなかった。  このような現状を踏まえ、本研究では現実的核力から出発した多体変分計算に基づいて、新しいSN-EOSを構築した。本講演では、この新しいSN-EOSの特徴を議論するとともに、構築したEOSデータテーブルを用いた中性子星の構造計算や、実際のSNシミュレーションの結果も報告する。さらに、高密度領域におけるハイペロン混合がこれらの高密度天体に与える影響についても、併せて議論することを予定している。
        Speaker: Dr Hajime Togashi (RIKEN)
    • 14:00 15:20
      Nuclear force and nuclear reaction
      Convener: Dr Masaaki Kimura (Hokkaido University)
      • 14:00
        核力による多核子相関、核構造・反応、核物質へ 40m
        核力で相互作用する核子多体系における多体相関が、 有限核の性質としてどのように観測されるかを議論したい。
        Speaker: Dr Wataru Horiuchi (Hokkaido University)
      • 14:40
        光学ポテンシャルのこれまでとこれから 40m
        様々な核反応現象を記述するために、多くの場合、弾性散乱を記述することができる光学ポテンシャルが用いられる。近年、現実的核力に基づいた微視的模型の発展は目覚ましいものがあり、理論的に導出された光学ポテンシャルの信頼性は非常に高いものとなっている。しかし、現実的核力に基づいた微視的理論は単純ではなく、その専門家にしか利用することができない一面もある。 そこで、微視的光学ポテンシャルを広く利用可能にした微視的グローバル光学ポテンシャルの構築について紹介をする。この微視的グローバル光学ポテンシャルはだれでも利用可能であり、また、核図表を網羅できるほどの幅広い柔軟性を兼ね備えている。そのため、今後、理化学研究所を含めた実験施設における実験データとの対応が期待される。一方で、この模型の問題点や改善点などについても議論したいと思う。
        Speaker: Dr 猛憲 古本 (横浜国立大学)
    • 15:40 17:20
      Hadronic systems
      Convener: Dr Masaaki Kimura (Hokkaido University)
      • 15:40
        ハイパー核構造研究の展開と核子・ハイペロン多体系の物理 40m
        本講演では、反対称化分子動力学(AMD)計算に基づき、質量数10-40程度のp-sd-pf殻Λハイパー核の構造を議論する。Λ粒子等のハイペロンは、核内で核子からのパウリ原理の効果を受けない。また、ハイペロン-核子間相互作用の性質は、核子間の相互作用とは異なっている。そのため、ハイペロンは核内でimpurityと見なすことができる。ハイパー核では、ハイペロンが核に加わることで構造が変化(impurity effects)し、通常核とは異なるバリオン多体系のダイナミクスが現れると期待される。なかでも、p-sd-pf殻領域では、元の核の基底・低励起状態にクラスターや様々な変形など多種多様な構造が共存するため、ハイペロンが加わることで様々な構造変化が起こると期待される。本研究では、こうしたimpurity effectsを明らかにするため、ハイパー核に拡張したAMD模型を用いてハイパー核の系統的な構造研究を行っている。 本講演では、主にΛ粒子によりもたらされる核の変形やクラスター構造の変化を議論する。特に後者については、Beハイパー核等のp殻ハイパー核におけるαクラスター構造に着目して、クラスター構造の変化やその機構を理論的に示す。さらに、Λ粒子をプローブとした核構造研究の可能性についても議論する。こうしたハイパー核構造の議論を基にして、異種バリオンを含む原子核の構造について展望する予定である。
        Speaker: Dr Masahiro Isaka (RCNP, Osaka University)
      • 16:20
        核子多体系からハドロン多体系へ --- まずは 2、3 体系から 40m
        J-PARC や Belle などを始めとする近年の実験施設の充実により、通常の陽子と中性子だけでなく様々な (中間子でもバリオンでも) ハドロンを原子核に束縛させた、エキゾチックな原子核の探索・発見が精力的に進められている。同じ強い相互作用で考えるなら、陽子-中性子系だけでなく、他の種類の構成要素を持つハドロン多体系がたくさん存在してもいいはずだし、存在する方が自然だ。 そこで、まずは最も簡単なエキゾチック系から、という事で、私は 2 体ハドロン分子状態を主な研究対象としてきた。その中で、例えば、2 体ハドロン分子的成分の「量」を示す複合性 (compositeness) を共同研究者たちとともに提案した。 本講演では、最近の自身の研究および最近の実験や数値シミュレーションの進展から感じるものを放談する。これらの進展状況を「外挿」して、十年後に拓けるようなより一般的でエキゾチックなハドロン多体系の構造・反応ダイナミクスを予想する。
        Speaker: Dr Takayasu Sekihara (Japan Atomic Energy Agency)
      • 17:00
        チャーム原子核の物理 20m
        ハドロン物理において新たなフレーバーの広がりとしてチャームやボトムなどの重いクォークに対するハドロン物理が急速な発展をしている。重いハドロンは単体の状態のみならず、原子核中の重いハドロンのような多体問題としても興味深い。本講演では、最近のチャーム原子核の理論的研究の進展を紹介するとともに、著者が研究を行っている近藤効果について話をする。
        Speaker: Dr Shigehiro Yasui (Tokyo Institute of Technology)
    • 09:30 10:30
      Cluster structure
      Convener: Dr Takuma Matsumoto (Kyushu University)
      • 09:30
        凝縮状態における平均場の変形とクラスターの変形 40m
        ホイル状態が凝縮構造によって理解できることが提案されて以来なされた様々な研究によって、凝縮構造の考え方がより多くの状態に適用できることが明らかになってきた。例えば12Cの10MeV程度の励起状態に現れると考えられているリニアチェイン構造も、非常に大きくプロレート変形した平均場の中でαクラスターが凝縮しているという描像に立って理解できる。また、非4N核で考えると、例えば11Bや10Beで凝縮構造に類似した構造が提案されている。一方で、14Cではそのような構造は提案されていない。これは原子核を構成するクラスター自体の変形度に関係すると考えられる。これらの点について議論したい。
        Speaker: Dr Tadahiro Suhara (Matsue college of technology)
      • 10:10
        炭素同位体における直鎖クラスター構造とその崩壊モード 20m
        1950年代に3つアルファ粒子による直鎖クラスター配位が提唱されて以来、その極めて高い変形度や特異なクラスター構造が興味をもたれ、直鎖クラスター構造の存在可能性や性質が多くの理論によって調べられてきた。現在、炭素同位体における直鎖クラスター状態の研究は中性子過剰核において為されており、余剰中性子の存在によって直鎖クラスター構造の安定化する可能性が示唆されている。また、最近、14Cにおいて4He+10Beの共鳴状態が相次いで観測されており、反対称化分子動力学(AMD)において予測されている直鎖クラスター状態の励起エネルギーおよびアルファ崩壊幅とよく一致している。 そこで、本発表では、AMDを用いて14Cや16Cに対して励起エネルギーおよびアルファ崩壊幅、6He崩壊幅を求め、14Cでは実験で得られた共鳴状態との比較を、16Cでは今後の実験の指標となる予言を行う。
        Speaker: Mr Tomoyuki Baba (Hokkaido University)
    • 10:50 11:30
      Future of RI physics
      Convener: Dr Takuma Matsumoto (Kyushu University)
      • 10:50
        将来計画WG不安定核班第2期からの報告 40m
        将来の核物理研究・不安定核WG第2期からの報告を行う。
        Speaker: Dr Nobuaki Imai (CNS, Univ. of Tokyo)
    • 13:00 14:00
      Discussions
      Conveners: Dr Masaaki Kimura (Hokkaido University), Dr Takashi Abe (Department of Physics, The University of Tokyo)