若手放談会は2017、2019、2020年に続く4回目の開催となります。本放談会は、RIBFの完成以来、何がわかったのか、何が新たな疑問として出てきたのかを実験・理論の若手研究者で概観し、将来にどのような核物理の展開を期待するのかを議論する会として設けられました。
今回の放談会は、第3回で始めた他分野の専門家とのパネルディスカッションを継承しつつ、原子核物理の若手研究者が実験・理論の枠を越えて議論や交流をし、将来の夢を語り合える場とすることを想定しています。
なおパネルディスカッションの討論内容として、以下の2テーマを予定しています:
『1.原子核における"Open" problems』
原子核は多数の陽子や中性子たちが強い相互作用する量子系です。そのN体系のシュレディンガー方程式がどのような量子的な挙動をするかを探る研究が原子核物理学だと言えます。量子N体問題をがんばって解き明かそうという研究がある一方、しばしば、ごく少数の自由度の運動だけが重要となって、その他大勢の粒子の運動がほぼ無視できることがあります。そのような場合、少数の自由度が大きな環境の中をうごめいていて、摩擦や散逸を受けながら運動するとみなす「Open Quantum System」の視点が有益になります。Open Quantum Systemの研究は、物性物理、統計力学基礎論、量子情報、冷却原子などで近年活発に研究されていているhot topicです。このような「Open Quantum System」という視点で原子核現象をとらえることはできるのでしょうか?また、様々な分野で発展しつつあるOpen Quantum Systemの知見を原子核物理と融合させることで、新たな学際的研究や「Open problem」を発見・発展させることはできるのでしょうか?
パネラー(敬称略、五十音順):磯部忠昭(理研)、田島裕康(電通大)、谷村雄介(東北大)、増山雄太(QST)
『2.流れるスピン』
電気といえば電荷の流れですが、電子のスピンの流れ(スピン流)を利用した新しい技術が、高効率・省電力を実現するスピントロニクスとして注目を浴びています。一方で、原子核物理においてもスピンは切っても切り離せない重要な物理量であり、原子核の安定性や反応のしやすさに関わっています。もしスピントロニクスのように、原子核の中でスピンが流れていると考えた場合、原子核を新しい視点から見直すことができるでしょうか?また、スピントロニクスは物質中の電子だけではなく原子核も含めた系にまでその範囲を広げつつあります。次世代のエレクトロニクスとして、果てして原子核は重要な役割の一端を担うことができるのか?その可能性についてスピン流の専門家をお呼びして一緒に議論します。
パネラー(敬称略、五十音順): 家田淳一(JAEA)、吉川貴史(東大)、立石健一郎(理研)、日野原伸生(筑波大)
また以下の方々に招待講演をお願いしております。 招待講演者(敬称略、五十音順): 家田淳一(JAEA)、石塚知香子(東工大)、磯部忠明(理研)、大石知広(京大)、川瀬頌一郎(九大)、吉川貴史(東大)、小林良彦(大分大)、田島裕康(電通大)、田島裕之(東大)、立石健一郎(理研)、谷村雄介(東北大)、西畑洸希(九大)、日野原伸生(筑波大)、船木靖郎(関東学院)、古野達也(阪大)、増山雄太(QST)、山口康宏(名大)、山本剛史(JAEA)、横山輪(東大)、吉田数貴(JAEA)
通常の研究会のような既存の研究発表やレビュートークではなく、自由奔放・奇想天外なアイディアでも気軽に話し合える会にするため、会議で使用した講演者のスライドは原則公開しません。議論に参加したい方はぜひ直接会場にお越しください。 関心を持たれる多くの若手研究者や学生の参加を大いに歓迎いたします。また、他分野の方々のご参加も歓迎いたします。奮ってご参加ください。 皆様のご参加を世話人一同,心よりお待ちしております。
参加登録締切:2月28日(月)