Monthly Colloquium

静電型イオン蓄積リングによる新しい原子分子物理

by 東 俊行 (理化学研究所 基幹研究所 東原子分子物理研究室)

Asia/Tokyo
仁科ホール (仁科記念棟)

仁科ホール

仁科記念棟

Description
アブストラクト (英語の場合50~150 word, 日本語の場合 150~500 字が目安) 我々原子分子物理グループは,静電型イオン蓄積リングを駆使して新しい原子分 子衝突や分光研究の開拓に取り組んでいる。このリングは,核物理実験などで用 いられてきた従来のイオン蓄積リングとは,対象とする蓄積イオンの種類も周回 エネルギーも大きく異なる。周回イオン軌道を静電場のみによって制御すること により,多原子分子,クラスター,生体分子イオンといった極めて重いイオンを 数10keVで周回蓄積する。そのために,今まで取り扱われてこなかった,真空中 に孤立した大きな分子イオンの脱励起過程や衝突反応過程の観測が,レーザーや 他の粒子ビームを合流衝突させることによって実現された。また装置全体を低温 化して達成される冷却分子イオンの衝突ダイナミクスの研究は,星間分子進化や 化学反応における共鳴過程において鍵を握ると期待される。  本コロキュウムでは,首都大東京で稼働中のリングによるフラーレン分子や星 間分子を対象とした実験結果を紹介する。加えて,現在理研で建設中である装置 全体を液体ヘリウム温度領域に保持した極低温リングによる量子状態を限定した 冷却分子イオンの反応ダイナミクス研究という挑戦的な取り組みについて紹介する。 講演言語 :日本語