趣旨:

第1回のノーベル物理学賞がレントゲンに授与されるなど、医学の進歩は物理はじめ基礎科学の応用展開なしに語れません。日本ではかつて2次元NMRなどの基礎学理で世界をリードするも、医学と数物系の連携の不在により外国の寡占状態を許しているというのが現状です。世界的に見ても数理・物理といったExact Scienceと生物学・医学の融合を目指す試みはいくつかあるものの、臨床医学との連携を核にした拠点はいまだに例がありません。

京都大学では、2017年に京大高等研究院(KUIAS)と理化学研究所・数理創造プログラム(iTHEMS)が共同で理研-京大数理科学研究拠点(SUURI-COOL Kyoto)をスタートさせ、2018年にはKUIASに医学物理・医工計測グローバル拠点(CiMPhy)が設立されました。また, 2019年には京大理学研究科附属サイエンス連携探索センター(SACRA)が発足しました。これらは、2015年にスタートした『医数物連携勉強会』や『MACS教育プログラム』と連携し、新しい学問的流れが生まれる環境を整えつつあります。

このような背景のもとで、ハイデルベルク大学(独)とCiMPhyにおいて臨床医学との連携を推進している田中求教授、理研iTHEMSの初田哲男プログラムディレクター、そして京大SACRA学際融合部門長の坂上貴之教授が協力し、「臨床医学の作業仮説」-->「精密計測・定量解析」-->「数理モデル構築」-->「臨床医学へのフィードバック」を実現するような、新たな融合分野の創出を目指した『第1回京大-ハイデルベルク大-理研ワークショップ「医学と数理」』を2019年の10月にSUURI-COOL Kyotoにて開催し、ここでは主に数物系の研究者が意見の交換を行いました。

第2回目となる今回の会議では、融合分野研究に取り組んでいる臨床医学と数物系の第一線の研究者がそれぞれ最新の成果報告・意見交換を行い、今後の融合研究につながるネットワークを形成することによって、第1回目の会議の成果をさらに大きく展開・発展させることを目指します。

今回は、COVID-19の影響で、オンラインでの実施とさせて頂きます。この研究会を通じて参加者の皆様と新たな学術領域の開拓について意見を交換できることを楽しみにしております。

登録:参加を希望される方は、ページ左コラムあるいはページ最後の"Registration"から登録をお願いします。(9月17日午後6時まで受け付けております。)

会場:オンライン開催

世話人:田中 求 (ハイデルベルク大/京大)、坂上 貴之(京大)、初田 哲男(理研)

 

プログラム  [アブストラクト集] [ポスター]

 

918

 

司会:田中 求

9:30-9:40       開会のご挨拶・趣旨説明       田中 求    (ハイデルベルグ大/京大)

9:40-9:50       医学と数理の連携について    森 重文 (京大高等研究院)

9:50-10:00     医学と数理の連携について    湊 長博 (京大)

 

座長:坂上 貴之

テーマ1:消化管がん診断へ向けた数理解析

 

10:00-10:30    妹尾 浩(京大消化器内科・教授)

 がん組織における「幹細胞」の振る舞い [abstract

10:30-11:00    福田晃久(京大消化器内科・講師)

 膵発癌におけるクロマチンリモデリング因子 Brg1 の役割 [abstract

11:00-11:15    山本暁久(京大高等研究院・助教)

 細胞の変形・運動モードの定量によるマウス膵癌前癌病変の判別 [abstract

11:15-11:30    鈴木 量(京大高等研究院・助教)

 動的変形解析を用いた大腸癌オルガノイドの転移能の定量評価 [abstract

11:40-12:20  玉野井冬彦(京大高等研究院・教授)

 患者由来の鶏卵がんモデルと癌のオージェ治療 [abstract

 

昼休み

 

座長:初田 哲男

テーマ2:呼吸器障害への数物系アプローチ

 

 13:30-14:00    冨永循哉(東北大放射線科・講師)

 間質性肺疾患の気道拡張の臨床的意義、その評価と問題点、今後の課題 [abstract

14:00-14:30    水藤 寛(東北大AIMR・教授)

 異なる病期の気管支部位を対応づける数理的アプローチ [abstract

 

14:40-15:00    佐藤 晋(京大リハビリテーション科・助教)

 呼吸器病態における structure-function relationship [abstract

15:00-15:20    佐藤篤靖(京大呼吸器内科・助教)

 マウス肺気腫モデルにおける組織破壊進展メカニズムの検討 [abstract

15:20-15:40    鈴木量(京大高等研究院・助教)

 慢性閉塞性肺疾患における肺胞の力学特性測定 [abstract

15:40-16:10    Karel Svadlenka(京大数学科・准教授)

 数理シミュレーションによる肺構造破壊の解析 [abstract

 

 座長:坂上 貴之

16:20-16:40   田辺直也(京大地域医療システム学・助教)

 ホモロジーを用いた間質性呼吸器疾患の画像指標の臨床応用への可能性 [abstract

16:40-17:10   鍛冶静雄(九大マス・フォア・インダストリ研究所・准教授)

 ホモロジーを用いた間質性呼吸器疾患の画像指標の構成 [abstract

 

 

919

 

座長:初田 哲男

テーマ3:再生医療のための数理バイオマーカー

 

 10:00-10:30   上野盛夫(京都府立医大眼科・講師)

 水疱性角膜症に対する培養ヒト角膜内皮細胞注入療法の開発 [abstract

10:30-11:00   山本暁久(京大高等研究院・助教)

 ヒト角膜内皮の培養細胞と再生組織における 細胞集団秩序に基づいた予測的診断法の開発 [abstract

 

テー マ4:数理モデルを活用した画像診断

11:10-11:50   古徳純一(帝京大学診療放射線学科・教授)

 トポロジカルデータ解析による肝腫瘍の画像鑑別 [abstract

 

昼休み

 

座長:田中 求

 13:30-14:10   鶴山竜昭(北野病院医学研究所・京都大学附属病院クリニカルバイオリソースセンター・教授)

 質量分析イメージングのバイオマーカーによるパターン認識 とバイオマーカー探索 [abstract

  

 テーマ5:循環器障害と数理モデル 

14:20-14:50   板谷慶一(京都府立医大循環器外科・講師)

 心室内血流画像データの流れのトポロジカル分類理論とその離散表現 [abstract

14:50-15:20   坂上貴之(京大数学科・教授)

 心室内血流画像データの流れのトポロジカル分類理論とその離散表現 [abstract

 

15:20-15:25   閉会のご挨拶      初田哲男(理研)

15:25-15:50   参加者による議論、今後の展望について

 


共催:

京大高等研究院(KUIAS) 医学物理・医工計測グローバル拠点

理研数理創造プログラム(iTHEMS)

京大理学研究科附属サイエンス連携探索センター(SACRA)