Speaker
Dr
Masahiro Isaka
(RCNP, Osaka University)
Description
本講演では、反対称化分子動力学(AMD)計算に基づき、質量数10-40程度のp-sd-pf殻Λハイパー核の構造を議論する。Λ粒子等のハイペロンは、核内で核子からのパウリ原理の効果を受けない。また、ハイペロン-核子間相互作用の性質は、核子間の相互作用とは異なっている。そのため、ハイペロンは核内でimpurityと見なすことができる。ハイパー核では、ハイペロンが核に加わることで構造が変化(impurity effects)し、通常核とは異なるバリオン多体系のダイナミクスが現れると期待される。なかでも、p-sd-pf殻領域では、元の核の基底・低励起状態にクラスターや様々な変形など多種多様な構造が共存するため、ハイペロンが加わることで様々な構造変化が起こると期待される。本研究では、こうしたimpurity effectsを明らかにするため、ハイパー核に拡張したAMD模型を用いてハイパー核の系統的な構造研究を行っている。
本講演では、主にΛ粒子によりもたらされる核の変形やクラスター構造の変化を議論する。特に後者については、Beハイパー核等のp殻ハイパー核におけるαクラスター構造に着目して、クラスター構造の変化やその機構を理論的に示す。さらに、Λ粒子をプローブとした核構造研究の可能性についても議論する。こうしたハイパー核構造の議論を基にして、異種バリオンを含む原子核の構造について展望する予定である。
Primary author
Dr
Masahiro Isaka
(RCNP, Osaka University)