[RIBF-ULIC-miniWS038]理論と実験で拓く中性子過剰核の核分裂

Asia/Tokyo
RIBF2F Large conference Room (RIKEN Nishina Center)

RIBF2F Large conference Room

RIKEN Nishina Center

Kenichi Yoshida (Kyoto University), Nobuya Nishimura (Riken), Shoya Tanaka
Description

プログラムはこちら(2月16日修正版)

[趣旨]

核分裂は重い原子核が2体以上に分裂する複雑な反応過程であり、量子多体系である原子核の物理において最も興味深い現象の一つである。超重核などウランより重い元素で顕著であり、超重元素の合成や天体での元素合成、原子力分野においても重要な物理現象である。しかし、その反応過程の詳細は、実験的にも理論的にも未だによく理解されていない。理研RIBFでは、将来的に、大強度RIビームを用いて陽子や中性子が過剰な原子核における核分裂の測定実験が計画されている。これらの実験が進むことで、核分裂の理解が飛躍的に進むことが期待される。

本研究会では、将来の実験に先立ち、理論および実験における核分裂研究の進展や計画を報告し情報共有および研究アイデアの創出を目的とする。

関連テーマ:

  • 核分裂に関する実験
  • 理論模型・動力学模型・微視的記述
  • 超重元素合成
  • 核データ
  • 宇宙核物理

[日程・場所]

  • 2023年2月16日(木)と17日(金)
  • 理化学研究所・和光キャンパス・RIBF棟大会議室
  • 発表は基本的に現地の対面、Zoomでの聴講も準備予定。(ハイブリッド形式)
  • 締切
    • 一般講演:2023年1月22日(日)
    • 参加登録:2023年2月10日(金)

[招待講演とテーマ]

  • 有友 嘉浩(近畿大学):動力学模型による核分裂ダイナミクスの解析と今後の展望
  • 石塚 知香子(東京工大):4次元ランジュバン模型でみる超重核領域の核分裂
  • 萩野 浩一(京都大学):核子自由度に基づく誘起核分裂の微視的記述に向けて
  • 鵜沢 浩太朗(京都大学):生成座標法のバリア透過過程への適用
  • 湊 太志(原子力機構):中性子過剰核のベータ崩壊と遅発中性子
  • 西尾 勝久(原子力機構):多核子移行反応を用いた核分裂の実験研究
  • 鷲山 広平(筑波大学):TDDFTと核分裂
  • 渡辺 裕(KEK):中性子過剰アクチノイド実験への展望
  • 岡田 和記(関西大学):5次元Cassiniパラメータを用いた核分裂の動力学的研究

[世話人]

  • 田中 翔也(理化学研究所)
  • 西村 信哉(理化学研究所)
  • 吉田 賢市(京都大学)

[支援]

  • 理化学研究所・仁科加速器科学センター・共同促進室(ミニワークショップ)
  • JSPS/NRF/NSFC A3 Foresight Program "Nuclear Physics in the 21st Century''
  • 科研費・基盤研究(B)「重力波・キロノヴァ観測から迫るrプロセス元素合成メカニズムの統一的理解」(代表:西村 信哉)
  • 理化学研究所・奨励課題「A new framework for comprehensive sensitivity studies of nuclear-physics inputs on r-process nucleosynthesis」(代表:西村 信哉)

 

 

Participants
  • Akihisa Kohama
  • Andrei Andreyev
  • Chikako Ishizuka
  • Daiki Nishimura
  • Fumitaka ENDO
  • Futoshi Minato
  • Gen Takayama
  • Hideyuki Sakai
  • hiroari miyatake
  • Hirokazu Sasaki
  • Katsuhiko Sato
  • Kazuki Okada
  • Kazuyoshi Kurita
  • Kazuyuki Sekizawa
  • Keita Kawata
  • Kenichi Yoshida
  • Kouhei Washiyama
  • Masaaki Kimura
  • Masaki Sasano
  • Masato Asai
  • Moemi Matsumoto
  • Momo Mukai
  • Nobuya Nishimura
  • Nori AOI
  • Norihiro Hizawa
  • Rurie Mizuno
  • Shigeru Kubono
  • Shinya Takagi
  • Sho Fujibayashi
  • Shohei Aoyama
  • Shunji Nishimura
  • Taiki Tanaka
  • Toshitaka Niwase
  • Tsunenori INAKURA
  • Yoshihiro Aritomo
  • Yoshikazu HIRAYAMA
  • Yutaka Watanabe
Contact (Shoya Tanaka)
  • Thursday, February 16
    • 1:30 PM 1:35 PM
      Opening 5m
    • 1:35 PM 3:20 PM
      動力学計算1
      • 1:35 PM
        4次元ランジュバン模型でみる超重核領域の核分裂 35m
        Speaker: Chikako Ishizuka (Tokyo University of Science)
      • 2:10 PM
        動力学模型による核分裂ダイナミクスの解析 35m
        Speaker: Yoshihiro Aritomo (Kindai University)
      • 2:45 PM
        5次元Cassiniパラメータを用いた核分裂の動力学的研究 35m

        多次元Langevin方程式による核分裂研究は、分裂機構の解明に重要な役割を担っている。我々は、変形核形状をフレキシブルに再現できるCassiniパラメータを、多次元Langevin方程式に適用している。Cassiniパラメータを用いた核分裂研究では、分裂片形状を描写するのに有効である$\alpha,\,\alpha_1,\,\alpha_4$を採用するのが基本であり、それぞれ原子核全体の伸び、質量非対称性、分裂片の四重極変形に対応する。さらに追加のパラメータとして、形状非対称性($\alpha_3$)や分裂片の八重極変形($\alpha_6$)の有効性が示唆されている。本研究では、これら5つのCassiniパラメータ全てを取り入れた5次元Langevin方程式を解くことで、分裂過程のシミュレーションを実施している。本発表では、様々なアクチノイド核に対し計算した分裂片の質量分布や運動エネルギー分布を報告する。

        Speaker: Mr Kazuki Okada (Department of Pure and Applied Physics, Kansai University, 564-8680 Suita, Osaka, Japan)
    • 3:20 PM 3:40 PM
      Break 20m
    • 3:40 PM 4:50 PM
      動力学計算2
      • 3:40 PM
        rプロセス計算に向けた核分裂の評価 35m
        Speaker: Shoya Tanaka
      • 4:15 PM
        Modeling the photonuclear reactions within the Hauser-Feshbach Fission Fragment Decay framework 35m

        We perform the statistical Hauser-Feshbach Fission Fragment Decay model to the photo-induced fission reactions on major actinides. The calculated result of fission observables shows good agreement with the experimental data and supports a traditional assumption that the photo-fission could be approximated by neutron-induced fission at the same excitation energies.

        Speaker: Hirokazu Sasaki
    • 4:50 PM 4:55 PM
      Break 5m
    • 4:55 PM 5:30 PM
      【議論】核分裂の実験・理論データ:rプロセス計算への応用 35m
      Speaker: Nobuya Nishimura (Riken)
  • Friday, February 17
    • 10:00 AM 11:45 AM
      核分裂の実験
      • 10:00 AM
        多核子移行反応を用いた核分裂の実験研究 35m
        Speaker: Katsuhisa Nishio (JAEA)
      • 10:35 AM
        中性子過剰Fm領域核の自発核分裂測定 35m

        原子力機構タンデム加速器において中性子過剰Fm領域核の自発核分裂測定を行い、核分裂片の質量-TKE分布のデータを得た。それらの実験結果からこの領域の対称核分裂と非対称核分裂の競合とそれらの特性について概説する。

        Speaker: Masato Asai (Japan Atomic Energy Agency)
      • 11:10 AM
        中性子過剰アクチノイド実験への展望 35m
        Speaker: Yutaka Watanabe (KEK)
    • 11:45 AM 1:30 PM
      Lunch 1h 45m
    • 1:30 PM 2:40 PM
      微視的模型1
      • 1:30 PM
        中性子過剰核のベータ崩壊と遅発中性子 35m
        Speaker: Futoshi Minato (Japan Atomic Energy Agency)
      • 2:05 PM
        密度汎関数法に基づく自発核分裂の記述 35m
        Speaker: Kouhei Washiyama (University of Tsukuba)
    • 2:40 PM 3:00 PM
      Break 20m
    • 3:00 PM 4:45 PM
      微視的模型2
      • 3:00 PM
        核子自由度に基づく 誘起核分裂の微視的記述に向けて 35m
        Speaker: Kouichi Hagino (Department of Physics, Kyoto University)
      • 3:35 PM
        生成座標法のバリア透過過程への適用 35m
        Speaker: Kotaro Uzawa
      • 4:10 PM
        実験データに基づく核分裂生成物の量子もつれの解析 35m

        近年、量子コンピューターをはじめとした様々な分野において、量子もつれに関する研究が盛んに行われている。強相関量子多体系である原子核においても、量子もつれは非常に興味深い研究対象である。特に自発核分裂は複雑な量子トンネル現象により引き起こされると考えられているため、適切な系の分割を行えば、核分裂後の波動関数は高度に量子もつれを引き起こしていると期待される。そこでJAEAの提供している核分裂収率のデータを用いて、大胆な近似のもと核分裂後の波動関数に対するエンタングルメントエントロピーを見積もったところ、自発核分裂と誘起核分裂において異なる振る舞いが見られた。本講演では核分裂におけるエンタングルメントエントロピーの考え方を提示すると共に、結果の解釈に関して論じる。

        Speaker: Norihiro Hizawa (Kyoto University)
    • 4:45 PM 4:50 PM
      Break 5m
    • 4:50 PM 5:30 PM
      【議論】核分裂の実験・理論データ:精密計算に向けて 40m
      Speaker: Kenichi Yoshida (Osaka University)