20–21 Feb 2023
RIKEN Wako campus
Asia/Tokyo timezone

重力崩壊型超新星爆発における $^{56}$Ni問題

21 Feb 2023, 10:40
30m
RIBF Large Meeting Room (RIKEN Wako campus)

RIBF Large Meeting Room

RIKEN Wako campus

Speaker

RYO SAWADA (The University of Tokyo)

Description

重力崩壊型超新星(以下、超新星)の爆発機構の詳細は、まだ十分に解明されていない。その原因には計算精度や近似にも課題が残されているが、なによりも現在の超新星爆発物理への理解が不十分である可能性が大きい。近年の self-consistent な多次元流体計算では、「ゆっくりとしたエネルギー成長率 ($\sim \mathcal{O}(0.1)$[erg s$^{-1}$]) で、超新星爆発の典型値 $10^{51}$[erg] まで到達しうる」と示唆されている (e.g., Bollig et al. 2021; Burrows \& Vartanyan 2021)。しかし、これらの大規模計算の爆発エネルギーの増加率 ($E_{\rm{expl.}}$) は、観測を説明する$^{56}$Ni質量の合成には不十分であることが最近指摘されている (Sawada et al.2019, Suwa et al.2019, Saito et al. 2022)。この問題を「$^{56}$Ni問題」と呼ぶ。
 ただ近年、この$^{56}$Ni問題は爆発モデルが単純であるために生まれたものであり、より現実的なモデルに更新すると解消されるとの明確な反論が出ている (Imasheva et al. 2023)。この反論を受け本研究では、超新星爆発における放射性同位元素$^{56}$Niの元素合成と爆発機構の詳細な関係について、再整理することを目的とした。具体的には、近似的なニュートリノ加熱モデル(light-bulb scheme)を用いて、$^{56}$Niの元素合成領域とその合成量について、爆発エネルギーの増加率との相関傾向を調べた。本研究の結果、近年の反論と矛盾の無い形で、$^{56}$Ni問題が改めて存在することを確認した。本講演では、我々の計算結果をもとに「$^{56}$Ni問題」から示唆される超新星のメカニズムについて、観測・理論の両面から議論する。

Primary author

RYO SAWADA (The University of Tokyo)

Presentation materials