加速器・ビーム物理の機械学習ワークショップ2023

Asia/Tokyo
埼玉県和光市広沢2-1 理化学研究所仁科記念棟2階 仁科ホール
EIto Iwai (JASRI/RIKEN), Hirokazu Maesaka (RKEN SPring-8 Center), Masako Iwasaki (Osaka Metropolitan Univ. / RCNP, Osaka Univ.), Shinsuke Ota (RCNP, Osaka University), Takahiro Nishi (RIKEN Nishina center), Takashi OBINA (KEK), Tetsuhiko Yorita (RCNP, Osaka Univ.), Yasuyuki Morita (RNC), masahiro nomura (JAEA J-PARC)
Description

現地参加者のグループ写真 (2023/11/27)

 

開催趣旨

 加速器施設における供給ビームの高機能化を機械学習により実現することが、近年、各施設で成果をあげている。この機械学習による加速器調整の様々な手法について、情報交換する場を設けることで、加速器関連の機械学習が大いに発展することが期待される。第二回となる本ワークショップでは、前回に引き続きこれまで加速器・ビーム物理コミュニティにおいて行われてきた、加速器運転・調整や供給ビームの診断に関する機械学習の開発の現状を俯瞰するとともに、各施設における開発の現状、そして今後の計画などについて活発な議論を行いたい。

開催形式

対面とZoomのハイブリッド開催とします。ただし、発表については原則現地での口頭発表とします。

なお、学生の方の発表は約15分を予定しております。
一般枠同様の時間での発表を希望される方はabstract投稿時のコメント、もしくはメールにてご相談ください。

講演

15~30分程度の一般講演を募集します。「Call for abstract」より講演申し込みをしてください。
(Call for abstract は10月初旬までに open 予定です。)

 現地で発表される学生を対象とした旅費の補助を行う準備をしております。その他旅費の補助が必要な若手研究者につきましてもご相談ください。なお、予算に限りがございますので、希望される場合は早めのご連絡をよろしくお願いいたします。

※Call for abstract 現在openしました。

Call for Abstracts
投稿していただいた内容はワークショップのプログラム作成のみに使用する予定です。
様式などについては特に指定はありません。講演内容が分かる内容 (目的・手法など) をご記入ください。

参加登録

「Registration」より申し込みをお願いします。
(Registration は10月初旬までに open 予定です。)

※Registration open しました。

日程

2023年11月27~29日


場所

国立開発研究法人理化学研究所和光キャンパス
仁科記念棟 2 階 仁科ホール
 

主催

仁科加速器科学研究センター加速器基盤研究部

共催

Organised by

主催 仁科加速器科学研究センター加速器基盤研究部,
共催 加速器機械学習フォーラム

Participants
  • Aine Kobayashi
  • Akio Kiyomichi
  • Akito UCHIYAMA
  • Andrea De Franco
  • Atsushi Yoshida
  • Ayumi Kasagi
  • Eito Iwai
  • Gaku Mitsuka
  • Glynnis Mae Saquilayan
  • Hayato Araki
  • Hideto Nakano
  • Hirokazu Hoshiya
  • Hirokazu Maesaka
  • Hiroki Tajino
  • Hiromi Iinuma
  • Hironori KUBOKI
  • Hiroshi Ogawa
  • Hiroyuki Makii
  • Hiroyuki SHIDARA
  • Junya Yoshida
  • Karin Takahashi
  • Katsuhiro Moriya
  • Katsutoshi Shirasawa
  • Katsuya Yonehara
  • Kazami Yamamoto
  • Kazuhiko Soyama
  • Kazuya Nagashima
  • KAZUYA OSAKI
  • Keijiro Takeda
  • Keiko Kumagai
  • Keita Kamakura
  • Keizo Agari
  • Kenji Yasutome
  • Koichi Nakayama
  • Mami Shiozawa
  • Manami Nakagawa
  • Masahiro Nomura
  • Masahiro Yamamoto
  • MASAHIRO YOSHIMOTO
  • Masaki Fujimoto
  • Masaki Maruyama
  • Masako Iwasaki
  • Masanori Kidera
  • Masanori Satoh
  • Moe Sugita
  • Nao HIGASHI
  • Naoki Hayashi
  • Naoya Oka
  • Nobumasa Miyawaki
  • Osamu Kamigaito
  • Rintaro Kurata
  • Ryo Kitamura
  • Ryu Watarai
  • Ryuta Saito
  • Satofumi Souma
  • Satoshi Hashimoto
  • Shin-ichiro Meigo
  • Shinji Ogawa
  • Shinnosuke Kato
  • Sho Nagao
  • Shota Ikeda
  • Shotaro Matsui
  • Shu Nakajima
  • Sohei Nakagawa
  • sunagawa hikaru
  • Sunpei Kuroguchi
  • Taihei Adachi
  • Taihei SHIMADA
  • Takahiro Inagaki
  • Takahiro Kikuchi
  • Takahiro Matsumoto
  • Takahiro Nishi
  • Takashi Ishida
  • Takashi OBINA
  • takashi ohshima
  • Takayuki Sako
  • Takemasa Masuda
  • Takuro HASEGAWA
  • Tetsuhiko Yorita
  • Tetsuhiro Obana
  • Tetsuhito Kadowaki
  • Tetsuro Yoshida
  • Tetsuya Ohnishi
  • Tomohiro Kobayashi
  • Tomoki Imura
  • Tomoya Akagi
  • YANJUN GU
  • Yao Lu
  • Yasuo Okajima
  • Yasushi Watanabe
  • YASUTERU KOTAKA
  • Yasuyuki Morita
  • Yohei Ono
  • Yohei SHIMIZU
  • Yoshito Shimosaki
  • Yosuke Yuri
  • Yuhi Waga
  • Yuki Kubota
  • yusue suetsugu
  • 政博 加藤
  • 義隆 平
    • Opening
    • 1
      シミュレーションを併用した重イオンビームトランスポートラインのベイズ最適化に関する研究

      我々はこれまで、SACLA で開発されたベイズ最適化プログラムを理研 RIBF に適用し重イオンビームのビームトランスポートラインの光学系最適化の試験を行ってきた。これにより通過率とスポット形状の同時最適化などに成功する一方、変数が増えるに連れてその最適化の効率化が課題となってきた。そこで今回は比較的シミュレーションを行いやすい加速後のビームトランスポートラインについて、シミュレーション上でのベイズ最適化、及びそれを用いた効率的なアルゴリズムの開発状況などについて報告する。

      Speaker: Takahiro Nishi (RIKEN Nishina center)
    • 2
      VAEとベイズ最適化によるビーム輸送系の最適化

      ビーム輸送ラインの調整を行う際に、ローカルマキシマムを避け、効率的に最適化するためには全体を一括で調整することが望ましい。そこで我々は変分オートエンコーダー(VAE)による次元削減を用いることで長いビームラインを効果的に最適化する手法を考案した。VAEの学習にビーム輸送シミュレーションを活用できれば、学習効率は格段に向上し、また、ありとあらゆるビーム輸送系で活用できるようになる。そこで我々は仁科加速器研究センターRIBFのLEBTにてシミュレーションで学習したVAEの動作検証を行った。本発表ではその結果について報告を行う。

      Speaker: Yasuyuki Morita (RNC)
    • 3
      Current status and future improvement of machine learning implementation for the beam control at SACLA

      SPring-8/SACLA加速器基盤施設では、SACLAにおけるXFEL輝度・スペクトラムの幅などを目的関数として、加速管の位相や磁石の電流値について最適なパラメータを探索するために、GPR (Gaussian Process Regressor)を用いた機械学習手法を導入している。この手法を用いた加速器調整は都度学習で行われており、過去の調整結果やシミュレーションなどの外部データを組み込むことが難しい。また、最適なパラメータを探し当てる能力に長けている一方で、運転中にその性能を維持するということについては改善の余地がある。我々は、これらを補完するための手法として、強化学習を導入した加速器調整システムの構築を進めている。コアのアルゴリズムには、Attention機構の一つであるVision Transformerを利用することを検討している。学習を進める際には、ビーム試験による強化学習だけでなく、既存のGPR手法から得られるパラメータの多次元分布を用いた事前学習を併用することで、データ量を増やしつつ、過去のデータに基づいたより信頼性のある学習を期待できる。
      SACLAでは、RFディフレクターの開発も進めており、電子ビームの時間・エネルギー分布の測定や短パルス電子ビームの生成を目指している。加速器調整に機械学習を有効利用するためには、質の良いデータを集めることが重要であり、ディフレクターの開発は、機械学習による加速器調整の高度化とも良いシナジーを持つ。本講演では、GPRを用いた機械学習手法の現状をはじめとして、強化学習を用いた加速器調整システムの枠組みと簡単な模型を用いた試験の結果、および今後の発展について発表する。

      Speaker: Kenji Yasutome (RIKEN)
    • 14:55
      Coffee Break
    • 4
      LIPAc入射器の現状

      QST六ヶ所研究所では、IFMIF/EVEDA原型加速器(LIPAc, Linear IFMIF Prototype Accelerator)のコミッショニングを日欧協力の幅広い(BA)活動で進めている。LIPAcは125 mAの重陽子ビームを9 MeVまで加速し、連続(CW)運転することを目標としており、入射器は140 mA、100 keVの重陽子ビームを安定に供給することが求められる。本発表ではLIPAc入射器における大電流・高デューティ試験の状況や課題について報告したい。

      Speaker: Dr Tomoya Akagi (QST)
    • 5
      Status of multi objective Bayesian optimization of LIPAc’s ECR ion source.

      Electron Cyclotron Resonance(ECR) ion sources are one of the most common first stage of many modern accelerators. Typically, their design include few free settable parameters to optimize performances during commissioning and for re-tuning after maintenance. The optimization of set point is often based on the know how of an expert. In this work we report the status of the multi objective Bayesian optimization of ECR ion source of the IFMIF Prototype Accelerator (LIPAc). Several adjustable parameters are tuned to find the best tradeoff of the average extracted beam current and its stability over time.

      Speaker: Andrea De Franco (National Institutes for Quantum Science and Technology (QST))
    • 6
      東京大学HyperECRイオン源機械学習制御に向けたビーム電流予測モデルの開発

      東京大学CNSでは14GHz HyperECRイオン源を用いて理研AVFサイクロトロンに様々なイオンを供給している。本イオン源は設置から30年以上にわたり改良が続けられており、その多価重イオンビームの大強度供給技術は成熟してきた。一方で特に固体試料ビームの長期供給においては、供給中にビーム量の低下やビーム生成の不安定化が発生するなど、その制御に課題が残っている。ビームのさらなる大強度・安定供給を目指し、現在、機械学習を用いてイオン源の安定制御を補助するシステムを開発中である。今回の発表では、これまで開発を進めてきた、ニューラルネットワークを用いたビーム電流予測モデルを紹介する。

      Speaker: Dr Keita Kamakura (CNS, UTokyo)
    • 7
      ニューラルネットワークによるマウンテンプロット画像の生成

      J-PARC 3GeV RCSでは、RCS内に設置された電流モニター(WCM)の波形を周回毎に切り出し、縦方向に並べて一つの画像とすることにより、リニアックからの入射ビームの縦方向の振動の情報等を視覚的にも理解できるようにしている。この画像が、マウンテンプロット画像である。最近では、機械学習による画像を扱った技術は幅広い分野で用いられている。今回、この画像を扱った技術の一つである画像生成技術を加速器分野に適用する試みとして、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)と長期短期記憶(LSTM)を組み合わせたニューラルネットワークを用いて、WCMの周回毎の波形の変化を学習し、予測画像を生成することにより、マウンテンプロット画像の生成を行なった。画像生成の方法や結果、使用したニューラルネットワークについて発表する。

      Speaker: masahiro nomura (JAEA J-PARC)
    • 16:30
      Day 1 Closeing
    • Facility Tour
    • 8
      F3RP70-2Lを用いた異常値検知システムの検討

      横河電機製Programmable Logic ControllerのCPUモジュールであるF3RP70-2L上で異常値検知システムを評価試作している。システムはPythonの機械学習ライブラリscikit-learnを用いて開発されている。実際のオペレーションとして機械学習を導入、運用する上でのインターフェースについて考察し、本会議で報告する。

      Speaker: Akito UCHIYAMA (RIKEN Nishina Center)
    • 9
      多点観測データを深層学習に活用する際の問題と工夫

      加速器の状態監視に纏わる測定値は、例えばピックアップの電流、冷却水や筐体の温度、真空度など多岐に渡り、仁科加速器では数万点を常時モニターしデータ保存している。これらの数値は加速粒子や加速エネルギーによって、またそれらが同じでも気温や供給される電力の変動によっても毎回微妙に異なることが多い。今回、機械学習(深層学習)を用いてこれら数多い点数の数値を包括的に監視し、故障などエラーの予知やよりよい調整のために活用しようとした際に生じる問題と、それを解決する工夫の一例を紹介する。

      Speaker: Dr Masanori Kidera (RIKEN Nishina center)
    • 10
      加速器分野への機械学習の応用を通じた人材育成の試み

      広島大学、呉工業高専、広島商船高専では、KEK加速器総合育成事業の支援を得て、最新デジタル技術の加速器分野への応用とそれを通じた人材育成に取り組んできた。特に、近年、社会の様々な領域で利用が急速に拡大しているAI・機械学習は関心を持つ学生が多いことから、それらの加速器分野への応用を通じて関連する知識を身に着ける機会を創出し、合わせて加速器分野への興味を高めることを目指している。KEK Photon Factoryのビーム位置検出器のデータを用いたビームの異常や検出系の故障の検出を目指す研究、試験加速器cERLのビーム調整の省力化・自動化を目指した研究などを通じた学生教育・人材育成の最新の状況を報告する。

      Speaker: Masahiro Katoh (Hiroshima University)
    • 10:15
      Coffee Break
    • 11
      【Invited talk】Accelerator AI at Fermilab

      In this presentation, I introduce the AI/ML applications for the Fermilab accelerator system. For example, a fast AI/ML FPGA hardware is installed on the Recycler Ring beam control system to tune the beam position to reduce the beam loss rate. The proton linac has other type of the AI/ML feedback loop to manipulate the RF parameters. The NuMI target system has the AI/ML based muon monitor signal analysis to detect the beam parameter change with high accuracy.

      Speaker: Katsuya Yonehara (Fermilab)
    • 12
      【Invited talk】Analysis of nuclear emulsion images for hypernuclear physics using machine learning

      原子核乾板は荷電粒子の飛跡を可視化する厚みを持った写真乾板である。現像した乾板に写った飛跡を光学顕微鏡によって読み取ることで、荷電粒子の通過位置がサブミクロンの空間分解能で計測できる。原子核乾板はその空間分解能を生かし、μmスケールの飛跡しか残さない稀事象:ハイパー核・ダブルハイパー核研究などに利用されてきた。原子核乾板実験の課題の一つは、乾板中から該当の事象をいかに高速に検出するかである。そこで筆者らは、網羅的に撮影した乾板の顕微鏡画像から、ハイパー核・ダブルハイパー核の生成・崩壊事象の作る特徴的な形状の飛跡を検出するべく、機械学習ベースの画像処理法を開発した。本発表では開発の経緯・J-PARC E07実験の乾板に対する解析の現状・今後の展望について紹介する。また筆者は現在、放射光科学に携わっており、分野を横断した新研究領域を開拓したいと考えているが、この試みにおける機械学習の活用の可能性についても議論したい。

      Speaker: Junya Yoshida (SRIS, Tohoku-U)
    • 11:50
      Lunch Break
    • 13
      LOF法を用いたイオン源故障予知モデルの作成と評価

      住友重機械工業(株)はPET診断向けの薬剤合成用小型サイクロトロンを国内130施設以上納入しており、その大半で運転保守を行っている。保守時の装置トラブル事例において迅速な修理が難しく、病院の診療の中止につながりやすいのがイオン源関連のトラブルである。本発表では、当社の保守対象施設にてトラブル件数が多いイオン源カソードショートと呼ばれる事象の故障予知に取り組んだ。イオン源カソードショートはPIGイオン源に所定のアーク電圧を印加できなくなる事象であり、アーク時のスパッタ粉の堆積、部品破損部の落下、絶縁部の汚れといったものによる導通が原因と考えられているが、その予知技術は確立できていない。そこで、機械学習を用いて故障の予兆を可視化、注意喚起する手法を検討している。本発表ではLOF法(局所外れ値因子法)を用いて故障発生の前に異常を通知できるモデルを作成し、過去の故障発生前後のデータで評価を行っている。ここではそのモデル作成の過程および評価状況について報告する。

      Speaker: Mr Masaki Maruyama (Sumitomo Heavy Industries, Ltd.)
    • 14
      SuperKEKB主リングにおける圧力異常検知プログラムの検討

      SuperKEKB主リングの真空システムは2016年の運転開始以来概ね順調に稼働しているが、強い放射光等による熱サイクルに起因するリークや、放電等による変則的な圧力上昇が度々発生し、時には重大なトラブルに至っている。事前に圧力異常の兆候が検知できれば、大きなトラブルとなる前に迅速な対処が可能となる。そこで、機械学習を応用して圧力の異常な振る舞いの兆候をつかみ、注意喚起する異常検知プログラムを提案、検討している。プログラムの基本的な流れは下記の通りである。まず、ビーム(再)入射から蓄積、ビームアボート直後までを1フィルとし、主リングのすべての真空計(約600個)について、調べたいフィルの数日前の圧力測定値を「標準データ」とみなし、圧力のビーム電流あるいは時間に対する振る舞いの回帰曲線を求める。ここでは、回帰曲線のモデルとして、これまでの真空システムでの知見や経験を基にしたモデルを用いる。次に、調べたいフィルの測定値(チェックデータ)の標準誤差と標準データでの標準誤差との比などを入力パラメータとして、「正常」と「異常」をフィル毎に判断する、2層のニューラルネットワークを構築する。決定境界を与える重みパラメータは、これまでの真空トラブル発生時の圧力の振る舞いから学習する。最終的にはプログラムを加速器制御システム上で走らせ、異常と判断された場合には運転員等に注意を喚起する。ここではこの圧力異常検知プログラムの検討状況を報告する。

      Speaker: Yusuke Suetsugu (KEK)
    • 13:50
      Coffee Break
    • 15
      未来を加速する加速器と機械学習が拓く新時代への展望2023

      加速器と機械学習の全体像を述べ、今後の加速茎と機械学習と物理についての私見を述べる。

      Speaker: Sunpei Kuroguchi
    • 16
      機械学習を用いた電子陽電子入射器におけるビーム調整とSuperKEKB入射調整へ向けた準備状況

      フレーバー物理精密測定や新物理探索を主な目的とする BelleII実験/SuperKEKB 加速器
      にとって、ルミノシティ向上は喫緊の課題である。2023ランまでで改善すべき問題とし
      て、ビーム輸送路よりSuperKEKBメインリングへ電子・陽電子ビームを入射する際の入
      射効率が安定しないことが挙げられ、これは積分ルミノシティの低下を招く。ビームの入
      射調整に用いられるマグネットは主にそれぞれ2台のステアリング、セプタム、キッカーマグネットとがある。現在はエキスパートがこれらマグネットを組み合わせて合計6個のパラメータとし、そのパラメータを手動で調整している。我々は6個のパラメータを自動調整するため、機械学習、特にベイズ最適化に基づく調整ツールの開発を進めている。
      本講演では、まず開発の第一段階として線形加速器 Linac にて実施した陽電子生成用の電子ビームおよび、生成された陽電子ビームの収量最大化を目指した6次元のベイズ最適化試験について発表し、その後来年1月に運転再開を予定するSuperKEKBの入射調整へ向けた準備状況を報告する。

      Speaker: Shinnosuke Kato (The University of Tokyo)
    • 17
      ビーム入射ラインのベイズ最適化

      加速器技術は、原子核・素粒子分野の発展を支え、新たな物理現象の探索実験に不可欠である。さらに、医療分野でのがん治療やがん検査用ラジオアイソトープの生成、使用済核燃料廃棄物を減容するためのADS核変換技術など、応用分野においても加速器の期待が高まっている。加速器の広範な応用には、効率的で迅速な運転および制御が不可欠である。
      本研究では、ビーム入射ラインの制御に焦点を当て、機械学習を用いて、制御プロセスを最適化し、効率を向上させる手法を研究する。ビーム入射ラインは加速器の中でも重要な部分であり、その最適な制御は加速器の性能向上に寄与する。
      ビーム入射ラインは、2つのグレーザーレンズと2つのソレノイドレンズによって構成されている垂直入射ラインを検討対象とする。これら4つの磁場を最適化し、垂直入射ライン終端のサイクロトロン中心部に位置するインフレクター入り口でのビームサイズがインフレクターの口径8 mmφに収まるように調整する。
      この研究において、OPAL-TとPythonのGPyOptを使用し、シミュレーション上で機械学習によるビーム調整を模擬する。 OPAL-Tは空間電荷効果を含む計算が可能であり、ビームの動きを詳細にシミュレートする。 そしてGPyOptを利用して、ベイズ最適化を実施し、各磁石の最適な電流値を求め、ビーム輸送を最適化する。
      ビームダクトなどの径方向に制限がある状況におけるベイズ最適化のふるまいについて、詳細に調査し、できるだけビームがビームダクトに衝突せずに、最適化を進める手法を模索する。この研究により、加速器技術の応用分野において、効果的な運転と制御を実現することを目指す。

      Speaker: Tomoki Imura (RCNP)
    • 18
      機械学習を用いた加速器運転調整システムの開発

      加速器運転においては、環境温度のドリフトなどに起因してビーム状態が変化する。そのため、安定した加速器運転のためには、多数のビーム運転パラメータを常時最適値に調整する必要がある。本研究では、機械学習を使用した加速器運転調整システムを開発することで、運転調整の高速化および高精度化を目指している。開発の現状について、発表する。

      Speaker: Masako Iwasaki (Osaka Metropolitan Univ. / RCNP, Osaka Univ.)
    • Closing