Dr
Takuma Matsumoto
(Kyushu University)
31/07/2017, 09:40
招待講演
中性子過剰領域の原子核では、中性子分布が薄く広がったハロー構造などの安定核では見られなかった特異な構造が見られる。これまでの中性子過剰核における研究は主にその基底状態の半径や大きさなどに注目されていたが、今後はさらにその励起状態の構造研究が進展していくと期待される。特に2中性子ハロー核と呼ばれるドリップライン上では、励起状態が粒子崩壊閾値より上に共鳴状態として観測されることから、安定核では見られなかった特異の構造が発達すると期待される。本講演では、中性子過剰核の共鳴状態が、分解反応の励起エネルギー分布にどう現れるかを微視的反応解析により議論する。
Dr
Yuma Kikuchi
(Osaka City University)
31/07/2017, 10:20
招待講演
中性子過剰核では基底状態を除くほとんどの状態が励起共鳴状態として存在しており、共鳴状態の構造が観測量とどのように対応しているかを調べることは重要である。励起共鳴状態は断面積の分解閾値以上の励起エネルギーにおいてピークとして観測されるが、ピーク位置とともに、崩壊粒子の運動量分布から部分系の相関をを調べることで励起状態の詳細な構造を理解することができる。本講演では6Heの励起共鳴状態の崩壊モードの分析から部分系の情報が中性子過剰核の構造を調べる上で有用なことを紹介する。また、6Heを例にとり、中性子過剰核の構造を調べる上で注意すべき点を議論するとともに、今後の研究の方向性について議論したい。
Dr
Shin Watanabe
(National Institute of Technology, Gifu College)
31/07/2017, 11:20
招待講演
1985年に11Liのハロー構造が発見されて以来、現在では、31Ne (30Ne + n) や37Mg (36Mg + n) といった重い原子核までハロー核として確認されている。このように新たに発見されたハロー核は、いわゆる「変形ハロー」と呼ばれ、そのコア核 (30Neや36Mg) が大きく変形していることが予想されている。変形ハロー核は、核内でコア核が変形に伴う回転励起(コア励起)を起こしており、様々なコア状態の重ね合わせによって基底状態と励起状態(連続状態)が形成される。これはコア励起がハロー核の構造にもたらす静的効果といえる。一方で核反応を考えた場合、コア核は散乱過程で励起・脱励起を繰り返すことになる。これは、コア励起が核反応に与える動的効果といえ、その結果として観測量である断面積が得られる。本講演ではコア励起をテーマに研究の展望を述べる。
Dr
Yusuke Tsunoda
(Center for Nuclear Study, the University of Tokyo)
31/07/2017, 12:00
招待講演
原子核の変形は核子多体系としての原子核の性質を示しており、
原子核形状は原子核物理における重要なテーマの一つである。
エキゾチック原子核を含む核図表の広い範囲の核種を研究することで、
陽子数と中性子数の2つの自由度から原子核の性質を調べることができる。
モンテカルロ殻模型では、殻模型の枠組みで多くの一粒子軌道を含めた広い模型空間を取り扱うことができ、
Slater行列式の基底の重ね合わせとして波動関数を表すことにより、原子核の形状など集団的な性質を記述することができる。
そのため、殻構造の観点から変形を考えることができ、その一例として第二種殻進化による変形共存現象の説明がある。
本講演ではNi領域、Zr領域、Sm領域などにおける研究について主に原子核形状に関する性質を議論し、その内容をもとに将来を展望する。
Dr
Shuichiro Ebata
(Faculty of Science, Hokkaido University)
31/07/2017, 12:40
一般講演
Spontaneously symmetry breaking is the one of most important keywords to describe modern physics. In nuclear physics, the rotational symmetry of nucleus is spontaneously breaking induced by the coupling among individual particle motions and the corrective motion, which was pioneered by Bohr and Mottelson.
We investigate systematically the ground states of nuclei for whole nuclear mass...
Dr
Kenichi Yoshida
(Kyoto University)
31/07/2017, 14:30
対相関や変形相関など多様な多体相関の存在によって原子核には多彩な真空(相構造)が現れ,その過程や真空の構造が,集団運動の性質に大きな影響を与える。幾つかの具体例などを通して,重い不安定核での新奇な集団運動の発現可能性を議論する。
Dr
Kouhei Washiyama
(Center for Computational Sciences, University of Tsukuba)
31/07/2017, 15:10
原子核の励起モードの解析に大規模数値計算となるQRPA法の効率的解法である有限振幅法が近年急速に発展している。有限振幅法は通常のQRPA法での行列の対角化と残留相互作用の計算を露に行なわずに、原子核の線形応答モードを記述する。我々は3次元の有限振幅法QRPAの数値計算コードの開発を行なった。本講演では、アイソスカラー四重極応答における先行研究との比較、非軸対称原子核の励起モードの結果について紹介する。また、応用として5次元ハミルトニアンの集団質量の記述に向けた計算について報告し、将来の不安定核研究への展望を議論する。
Mr
Fang Ni
(Univ. of Tsukuba)
31/07/2017, 15:30
対相関は原子核構造の中で最も重要な性質の一つである。原子核の基底状態における対相関はよく知られており、BCSやHFB理論で記述される。また、対相関を取り入れた準粒子乱雑位相近似(QRPA)によって、原子核の巨大共鳴も理解することができる。しかしながら、原子核の低励起状態の運動モードが非常に複雑であり、現在の理論で説明できない現象が多々存在する。我々は対相関を取り入れた大振幅集団運動を解明することが、原子核の低励起状態を理解する鍵になると考えている。対相関を取り入れた大振幅集団運動理論は発展途上であり、理論の枠組みを完成させることが最優先である。
我々は自己無撞着な集団座標[1]と経路積分の準古典近似の方法[2]を取り入れ、まず単純な対相関模型を用いて検証する。対相関模型は厳密解が得られることから、理論の検証に最適である。本講演では、対相関模型におけるダイナミクスの性質に触れてから、...
Dr
Nobuo HINOHARA
(Center for Computational Sciences, University of Tsukuba)
31/07/2017, 16:10
原子核の多体相関で最も重要なものは変形をもたらす多重極相関と、超伝導をもたらす対相関である。有限量子多体系である原子核ではこれらの大振幅な相関が本質的となる現象が現れ、変形共存、核分裂などはその一例である。平均場描像を出発点として大振幅集団運動の理論を構築し、これらの構造を議論する。
Dr
Yusuke Tanimura
(Tohoku University)
31/07/2017, 16:50
We have developed a new microscopic approach to the nuclear fission
based on the stochastic mean field theory, which simulates the evolution of a
quantum wavepacket in the collective phase space with an ensemble of time-dependent Hartree-Fock trajectories.
We show that the important fission observables, such as the total kinetic energy of fragments
and the fragment mass distribution are...
Dr
Takayuki Miyagi
(Center for Nuclear Study, the University of Tokyo)
01/08/2017, 10:10
原子核物理における基本的な課題の一つは、核子間に働く核力に基づいて原子核構造を理解することである。この問題の解決に向けて、核力自身と多体問題の解法の両方が重要である。核力に関して、近年精力的に研究がなされており、特にカイラル有効場理論による核力は摂動の高次項を取り込むことで多体力や精度について系統的な改善が期待できることから当該分野で標準的に用いられるものになりつつある。最近の研究から、2体力だけでなく3体力の効果を取り込んで多体計算を行うことの重要性が注目されている。多体問題の解法に関しては、登壇者がこれまでの研究に用いてきた第一原理的な計算手法であるユニタリ模型演算子法(UMOA)を用いることができる。本講演では、カイラル有効場理論による2+3体力から出発したUMOA計算の結果、特に閉殻原子核の基底状態エネルギーについて報告する予定である。
Dr
Takashi Abe
(Department of Physics, The University of Tokyo)
01/08/2017, 10:30
モンテカルロ殻模型による第一原理計算の現状と今後の展望について報告する。
Mr
Sota Yoshida
(The university of Tokyo)
01/08/2017, 11:10
講演では中性子過剰核(質量数40領域)におけるベータ崩壊に関する殻模型計算の結果を紹介する。
(より重い領域で)r-processの理解において重要となるベータ崩壊半減期や遅発中性子放出確率の実験値を広い領域で系統的に再現していることに加え、第一禁止遷移の効果や、低励起エネルギーに見られる特徴的なガモフテラー遷移やその起源などを示す。
Dr
Wataru Horiuchi
(Hokkaido University)
01/08/2017, 14:00
核力で相互作用する核子多体系における多体相関が、
有限核の性質としてどのように観測されるかを議論したい。
Dr
Masahiro Isaka
(RCNP, Osaka University)
01/08/2017, 15:40
招待講演
本講演では、反対称化分子動力学(AMD)計算に基づき、質量数10-40程度のp-sd-pf殻Λハイパー核の構造を議論する。Λ粒子等のハイペロンは、核内で核子からのパウリ原理の効果を受けない。また、ハイペロン-核子間相互作用の性質は、核子間の相互作用とは異なっている。そのため、ハイペロンは核内でimpurityと見なすことができる。ハイパー核では、ハイペロンが核に加わることで構造が変化(impurity effects)し、通常核とは異なるバリオン多体系のダイナミクスが現れると期待される。なかでも、p-sd-pf殻領域では、元の核の基底・低励起状態にクラスターや様々な変形など多種多様な構造が共存するため、ハイペロンが加わることで様々な構造変化が起こると期待される。本研究では、こうしたimpurity...
Dr
Takayasu Sekihara
(Japan Atomic Energy Agency)
01/08/2017, 16:20
招待講演
J-PARC や Belle などを始めとする近年の実験施設の充実により、通常の陽子と中性子だけでなく様々な (中間子でもバリオンでも) ハドロンを原子核に束縛させた、エキゾチックな原子核の探索・発見が精力的に進められている。同じ強い相互作用で考えるなら、陽子-中性子系だけでなく、他の種類の構成要素を持つハドロン多体系がたくさん存在してもいいはずだし、存在する方が自然だ。
そこで、まずは最も簡単なエキゾチック系から、という事で、私は 2 体ハドロン分子状態を主な研究対象としてきた。その中で、例えば、2 体ハドロン分子的成分の「量」を示す複合性 (compositeness)...
Dr
Shigehiro Yasui
(Tokyo Institute of Technology)
01/08/2017, 17:00
一般講演
ハドロン物理において新たなフレーバーの広がりとしてチャームやボトムなどの重いクォークに対するハドロン物理が急速な発展をしている。重いハドロンは単体の状態のみならず、原子核中の重いハドロンのような多体問題としても興味深い。本講演では、最近のチャーム原子核の理論的研究の進展を紹介するとともに、著者が研究を行っている近藤効果について話をする。
Dr
Tadahiro Suhara
(Matsue college of technology)
02/08/2017, 09:30
招待講演
ホイル状態が凝縮構造によって理解できることが提案されて以来なされた様々な研究によって、凝縮構造の考え方がより多くの状態に適用できることが明らかになってきた。例えば12Cの10MeV程度の励起状態に現れると考えられているリニアチェイン構造も、非常に大きくプロレート変形した平均場の中でαクラスターが凝縮しているという描像に立って理解できる。また、非4N核で考えると、例えば11Bや10Beで凝縮構造に類似した構造が提案されている。一方で、14Cではそのような構造は提案されていない。これは原子核を構成するクラスター自体の変形度に関係すると考えられる。これらの点について議論したい。
Mr
Tomoyuki Baba
(Hokkaido University)
02/08/2017, 10:10
招待講演
1950年代に3つアルファ粒子による直鎖クラスター配位が提唱されて以来、その極めて高い変形度や特異なクラスター構造が興味をもたれ、直鎖クラスター構造の存在可能性や性質が多くの理論によって調べられてきた。現在、炭素同位体における直鎖クラスター状態の研究は中性子過剰核において為されており、余剰中性子の存在によって直鎖クラスター構造の安定化する可能性が示唆されている。また、最近、14Cにおいて4He+10Beの共鳴状態が相次いで観測されており、反対称化分子動力学(AMD)において予測されている直鎖クラスター状態の励起エネルギーおよびアルファ崩壊幅とよく一致している。
そこで、本発表では、AMDを用いて14Cや16Cに対して励起エネルギーおよびアルファ崩壊幅、6He崩壊幅を求め、14Cでは実験で得られた共鳴状態との比較を、16Cでは今後の実験の指標となる予言を行う。